" 他にも「記録時間は60分、ディスクの直径は11.5cmでどうだ」とフィリップスが主張すれば、「いや、75分、12cmでなくては」とソニーも譲らず、話し合いは白熱する。万事こういった調子だった。 それぞれの主張には、それなりの根拠がある。フィリップスの主張した直径11.5cmというサイズは、オーディオカセットの対角線の長さと同じで、DIN規格(ドイツ工業品標準規格)に適合する。ヨーロッパ市場でのカー・オーディオとしての将来性を見込んだのである。一方、ソニーは音楽ソフト面から議論を進めた。音楽家でもある大賀から決定的なひと言があった。「オペラの幕が途中で切れてはだめだ。ベートーベンの『第九』も入らなくては。ユーザーから見て合理性のあるメディアにしなくては意味がない」。これは75分あれば大丈夫だ、ということを意味していた。さらにクラシック音楽の演奏時間を調べてみると、75分あれば95%以上の曲が入り、直径12cmは必要ということになる。"